こんにちは。2015年から冷泉荘に入居し、注文靴や靴づくりの教室などをしております。割りと頻繁に、どうしてこちらに入居したのか聞かれます。「たまたま探しているタイミングで空きがあったから」と、答えていましたが、もしかしたら何か期待するところがあっての質問なのかもしれないと、最近ようやく思い当たりまして、もう少し気の利いた回答がないものか、今日は冷泉荘と手作りの靴ということで書いてみようと思います。
日本初の靴工場は1870年、日本初のコンクリート造の建物は1877年に出来たそうです。いずれも西洋起源で、日本に入ってきてまだ150年くらいなのです。それまで日本人の履物は下駄や草履、建物は木造で、素材としては革や石と比べると耐久性のないものを何百年と利用してきたわけで、風土の違いもあるし、その扱い方に対する姿勢は西洋人とは同じではないと思うのです。そういう背景の違いからなのか、日本人は「おニュー」が好きなところがあると思っているのですが、大量消費時代と相まって、建物はスクラップアンドビルド、靴も季節ごとに新しいものが出てくる。それは一面、豊かさでもあるのでしょうが、反対に、長い時間、手をかけていくことで生まれてくる価値というのもありますよね。それを冷泉荘はビンテージビルという活動で、靴づくりの教室は靴を自らの手で作ることで、非効率の中にある楽しみや豊かさの発掘と、もともと異文化のものを身体化しようと試行錯誤をしている、このような共通項があるのではないかと、勝手かもしれませんが思っているのです。
